「シラウオ漁」14年3月から いわき・相双沿岸、コウナゴも

 
「シラウオ漁」14年3月から いわき・相双沿岸、コウナゴも

 東京電力福島第1原発の汚染水問題が消費者に与えるイメージを考慮し、いわき沿岸の試験操業は見送られてきたが、県の放射性物質モニタリングなどから「安全性を訴えることができる」と判断、今月からイシカワシラウオ、コウナゴを対象に試験操業が始まる。

 いわき市漁協と小名浜機船底曳網漁協の漁船が実施。シラウオは刺し網漁で12隻、コウナゴは船引き網漁で45隻が参加する。

 また、相双沿岸でも両魚種を対象に今月から試験操業が始まる。相馬双葉漁協から、シラウオ漁に10隻、コウナゴ漁に85隻が参加する予定。同海域では、昨春のコウナゴ漁、昨秋のシラス漁に続いての試験操業となる。

 「松川浦のアオノリ」種場保存の栽培続く 

 相馬市の松川浦は1月から5月にかけて、本来ならばアオノリの収穫期として忙しい時期だ。震災前は全国の生産量の1割を占めた。しかし、原発事故の影響で、乾燥した場合に放射性物質が食品基準値を超える恐れがあり、相馬双葉漁協は、安全が担保できないとして、種場保存と検査のための栽培だけを続けている。

 日の出すぐの松川浦に舟を出し、青色鮮やかに成長したアオノリを専用の機械で取り込む菊地義秋さん(74)、幸子さん(73)夫妻。生育は今季も順調だった。義秋さんは「いつか再開できると信じている」と漁業者の意地で作業に励む。

 この海で約60年漁業に携わってきた義秋さん。「沖合底引きが相双沖で試験操業を再開、市場へ地元の魚介類が流通しているのを見ると、焦りがないとは言えない」とつぶやく。「補助や支援で流失した用具や機械はそろった」。名産を復活させるという熱い思いで漁業関係者は前進を続ける。