原告団"強い覚悟" 団長の中島さん、全救済へ続く訴え

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 「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団が原発事故で健康や地域の環境を損なったとして、国と東京電力に原状回復や慰謝料などを求め、福島地裁に提訴してからほぼ1年が過ぎる。団長の中島孝さん(58)は「被災者全体に対する救済のため、声を上げ続けていく」と語る。

 中島さんは相馬市でスーパーを経営する。店の売りは、地元の魚を使った豊富な総菜の品ぞろえだった。しかし、原発事故で本県漁業は操業が制限され、地元の漁港に水揚げされるのは試験操業で漁獲された震災前のごく一部だ。店の目玉商品も姿を消した。「県外産の魚を仕入れているが、流通コストがかかる」と事故後の負担増を明かす。

 それでも前向きに仕事に取り組むが「魚をさばいているとき、ふと現実に戻されることがある」と中島さん。放射能汚染への悔しさは頭から離れない。しかし事故後も原発再稼働へ向けた議論がされ「事故など何もなかったかのようだ」と政府の対応に首をひねる。

 政府は、原発事故対策に「前面に出る」と声高に叫ぶ。しかし賠償については将来の東電からの返還を前提に公的資金を投入するものの、実行に対しては東電任せの感は否めない。

 中島さんは「政策を進めてきた国が法的責任を問われないのはおかしい。責任を明らかにする」と語気を強めた。

 同地裁で1月に行われた口頭弁論で、国と東電の過失責任を争点とすることが決まった。中島さんは「原発事故で古里を奪われ、放射能を不安に思っている被災者はまだまだいるはず。一緒に国へ訴え掛けていきたい」と今後も続く訴訟への覚悟を示す。