批判高まる「汚染水漏れ」 消えぬ懸念、東電対応常に後手

 

 福島第1原発の汚染水問題をめぐり、政府は海に流出している放射性物質を含む地下水が1日約300トンに上るとの試算を明らかにしている。海洋汚染に対する国際的な懸念も依然として高い。

 2011(平成23)年3月の事故直後は、2号機の海側にある電源ケーブル用の地下道(トレンチ)から極めて高濃度の汚染水が漏えいした。昨年4月には地下貯水槽からの汚染水漏れが発覚。さらに同8月には地上タンクから約300トンの汚染水漏れがあり、原子力規制委員会は原子力事故の国際評価尺度で「レベル3」(重大な異常事象)と評価した。漏れた汚染水は地中に染み込んで地下水に到達し、海へ流れ込んだとみられる。

 台風でも脆弱さ露呈

 同9月以降は台風が相次いで本県を襲い、東電の汚染水漏えい対策の脆弱(ぜいじゃく)さを一層露呈した。タンク群を囲う堰(せき)内に急速にたまる雨水にポンプ移送が追い付かず、放射性物質を含んでいながらも故意に堰外に排出したり、あふれ出る事態が相次いだ。

 東電は海洋流出を防ぐために敷地海側の地盤を改良したり、耐久性の高いタンクへの切り替えを決めたりしたが、対応は常に後手に回っている。