学校給食に戻る「県産食材」 当初は保護者らの反発も

 

 県内の小、中学校の学校給食では、コメをはじめ、県産食材が利用されている。当初は放射性物質への心配から保護者らの反発もあったが、徹底した検査態勢を説明しながら、理解を求めてきた経緯がある。

 学校給食向けの食材や加工食品を扱っている県学校給食会(福島市)の五十嵐孝雄常務理事・事務局長は震災、原発事故から3年を経過する現状について「全袋検査など各種検査が給食現場でも理解されたためか、今は県産米を使う市町村がほとんどになっている」と明かす。ただ、震災前と違い、各市町村の地元のコメではなく、会津地方産のコメを使う市町村も多いという。一方、コメ以外の県産品を使用した加工食品は「現在も苦戦している」。五十嵐常務理事は「コメの使用が回復している理由を考えても、やはり放射性物質の検査態勢について広く周知していくことが、県産品の使用の回復につながっていくと思う。学校給食会としても取り組んでいきたい」と話している。

 

 厳重な検査態勢

 郡山市の学校給食は、全小学校と中学校の一部が自校、それ以外の中学校は市内2カ所の給食センターでそれぞれ調理されている。

 自校給食の各校、給食センターのいずれも毎日の給食1食分、使用する数日前の食材の「2段階」で放射性物質の検査が行われている。市教委によると、給食の提供の目安は、検査機器の検出限界値の1キロ当たり10ベクレルとしているが、給食1食分の検査でこれまで目安を上回ったことはないという。

 福島市教委は昨年1月から、市内の小、中学校の学校給食に同市産米を使用している。全量全袋検査のほか、精米工場での精米前後の検査、給食センターでの抽出検査、各校での「学校給食まるごと検査」などの検査態勢を敷き、新年度も市産米を使用する方針。市教委は「厳重な検査態勢や保護者への丁寧な説明を重ねることで、安全性をしっかりと伝えていきたい」としている。