【インタビュー・4年目の展望】 佐藤雄平知事に聞く

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【インタビュー・4年目の展望】 佐藤雄平知事に聞く

「生活再建の見通しを立てられるよう力を入れる」と話す佐藤知事

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から県民を守り、復旧、復興へと導くはずの行政は、この3年間に何をしてきたか。被災市町村を支援、リードすべき国や県の当初の混乱ぶりは明らかで、本県復興の遅れも被災3県の中で際立つ。復興行政は県民が期待した方向に向かうのか。福島民友新聞社は、新年度当初予算案の議会審議に臨んでいる佐藤雄平知事、根本匠復興相(衆院福島2区)に、震災4年目の課題や対応方針、今後の本県復興の展望について聞いた。(聞き手・編集局長菅野篤)

 【佐藤雄平知事】

 「復興」目に見える年に 

 --県は新年度を「ふくしま胎動の年」と位置付けた。予算編成のポイントは。

 「4月に郡山市に産業技術総合研究所(産総研)の福島再生可能エネルギー研究所が開所、医療機器開発・安全性評価センターも着工する。三春町と南相馬市では環境創造センターの整備に着手。世界から注目を集める各種拠点の整備で復興が目に見える年になる。一方、約14万人の県民が県内外で避難生活を続ける。生活再建の見通しを立てられるよう一層力を入れる」

 --風評被害は依然根強い。4年目の対策は。

 「まず実際に本県を訪れてもらう。3年間で全国規模の会議や国際会議などを100件以上誘致した。今後も継続し、観光や農林業再生につなげる。本県の現状の正確な情報発信も重要。新年度はプレデスティネーションキャンペーンや日本陸上競技選手権、全国レクリエーション大会、B--1グランプリと全国から注目を集める大会やイベントが相次ぐ。元気を取り戻しつつある本県を全国に発信する機会としたい」

 中間貯蔵問題は前面に立ち対応

 --大詰めを迎える中間貯蔵施設問題の方向は。

 「中間貯蔵施設は復興の前提となる環境回復を図る上で重要。しかし双葉郡の復興のためには規模は小さい方が望ましい。候補地から楢葉町を外し大熊、双葉両町に集約する案を出し、双葉郡8町村長の同意を得て国に計画見直しを要請した。汚染土壌などの搬入開始後30年以内の県外最終処分や施設の安全性も重要。県は広域自治体として前面に立ち、対応していく」

 --公共事業の入札不調が相次いでいる。対策は。

 「公共事業の発注増、資材高騰など現体制で対応しきれない面も出てきた。東京五輪に向け、労働力が東京に向かうとの懸念もある。技術面で安全性を保ちながら入札要件を緩和、設計と施工の業者を一括選定する方式などに取り組む」

 全避難世帯対象初のアンケート

 --県の避難者支援策は全員帰還が大原則だが、国は帰れない人への支援も打ち出した。今後の方針は。

 「これまで除染、住宅、賠償、健康、インフラ整備に取り組んできた。初の試みとして全避難世帯にアンケート調査を行う。結果をみて、新たなニーズがあればしっかり対応する」

 --賠償に関する審査会の新たな指針の評価は。

 「精神的損害の一括賠償は期間が明確になり、住居確保に向けた追加賠償にも対応した。一方では不満もあり、一つの方程式では対応できない部分もある。東電には、指針は最低限の基準として誠実な賠償を求めていく」

 --被災県として脱原発を国内外にどうアピールする。

 「本県は首都圏の3分の1の電力を供給し、日本経済の大きな礎となってきた。しかし結果的に原発事故が起きたことを都市部の皆さんにも考えてほしい。エネルギーはできる限り、地元で消費する分は地元で賄う体制が必要。本県を再生可能エネルギーの世界のモデルにする」

 --県内原発の全基廃炉に向けた4年目の戦略は。

 「県議会やほとんどの県民も全基廃炉の方向で、本県の総意だ。東電は国のエネルギー政策の位置付けと言い、国は事業者の問題と言うが、両者に根気強く全基廃炉を求めていく」

 --独自の18歳以下医療費無料化の国の予算措置は。

 「前政権から予算措置を求めているが実現に至っていない。子ども・被災者支援法の基本方針にも位置付けており、実行を求める。子どもの豊かな心、健康、学力を重視しているが、中でも健康は極めて大事だ」