新天地...住宅確保が壁 急がれる整備、複雑課題克服へ

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新天地...住宅確保が壁 急がれる整備、複雑課題克服へ

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で避難している約14万人の避難住民にとって、生活をどう再建していくかは極めて切実な課題だ。解決への道筋には、住宅の確保が高いハードルとして待ち構える。急がれる復興公営住宅などの整備、行政サービスの充実と「仮の町」の行方、集団移転など、複雑化した課題の克服へ住民と行政の挑戦が続く。

 "期待"と"不安"

 慣れ親しんだ広い自宅と違い、避難住民たちの中には今後、復興公営住宅で全く新しい生活の在り方を探る人たちが出てくる。仮設住宅の不自由な生活から解放される期待感と、3年前には考えもしなかった生活へと自ら歩み出す不安が、避難住民の心を揺さぶる。

 会津若松市の仮設住宅で暮らす大熊町の山本秀一さん(52)は、利便性から郡山市の公営住宅への入居を検討している。仮設住宅から復興公営住宅への移動を希望するが「福島、いわき、郡山、会津若松」と大きく4市に分けられた中で、どこが最善なのか判断がつかず、不安を感じている。町のアンケートでは郡山市を希望した。しかし、郡山市の公営住宅は富岡町、川内村などの住民が優先して入居することから、「大熊町の自分がどういった場所の住宅に入ることになるのか不安もある」と話す。

 今月には郡山市のモデルルームを見学した。「広くて天井も高いし、収納もある」。仮設住宅に比べて明らかな設備の良さを実感した。「仮設住宅の時みたいに建てて住む人がいないなんて、ならなければいいけど」と話し、入居に当たって自分たちの意見がどれだけ反映されるのか、情報を求めている。

 富岡町から郡山市の仮設住宅に避難する北崎一六さん(66)は「復興公営住宅が一日でも早く完成し、入居できるようにしてほしい」と話す。「広い一軒家から狭い仮設住宅での暮らしになった人も多い。仮設では、テレビの音や話し声などでも気にする生活。長期化するほど、住民のストレスはたまっていく」と、3年に及ぶ避難生活のつらさが、復興公営住宅への渇望に変わっていく。ただ、復興公営住宅への入居が始まれば、仮設で新たにできたコミュニティーの場も変わる。「高齢者のケアには特に力を入れる必要がある」。仮設で自治会長を務める北崎さんは「復興公営住宅に全員同時に移るわけにはいかないので、仮設の皆さんが動き始めたら、自分がどうするか決めたい」と成り行きを見守る考えだ。