「ため池」除染に"4手法" 秋にも実施、人的な負担増課題

 
「ため池」除染に

 県内の農業用ダムやため池の除染について、政府は底にたまった土を取り除くなど四つの手法を示し、技術マニュアルを作成した。

 ため池の特性に応じ(1)底土のセシウムを除去する剥離(はくり)洗浄(2)悪天候時に底土の巻き上がりを防ぐため、底部をコンクリートで固める固化・被覆(ひふく)工法(3)上流から流れ込む土砂を下流に流さないためシルトフェンス(水中カーテン)を設ける拡散抑制工法(4)底土が混じった水が流れやすい構造の取水口の位置変更--で除染を進める方針だ。

 政府は、早ければ今秋から実施する方針で、4月には除染の実施主体となる市町村の担当者向けの説明会を初めて開き、財政支援や除染手法について説明した。しかし、市町村からは、ため池除染で人的な負担が増えるといった心配や、除去土壌の保管場所が新たに必要になるとの声が上がっており、実現には作業員確保なども課題となる。

 除去土壌の保管課題 

 県内の農業用ダムやため池の除染を福島再生加速化交付金の対象事業に加える国の方針では、除去した汚染土壌の最終的な保管場所を示しておらず、除染の円滑な推進に向けた障壁となっている。

 県内のため池などでは底にたまった土砂から高濃度の放射性セシウムが検出され、農業用水として利用するコメ農家らは農作物への影響を心配している。国の方針について県は「農家の安心と風評の払拭(ふっしょく)につながる」と期待感を示す一方、「除去した汚染土壌をどこに保管するのかが課題だ」と戸惑いも見せる。

 汚染土壌の一時的な保管先として、各市町村では新たな仮置き場が必要となる可能性もある。仮置き場の確保は住民合意が前提となるため、県は早急に汚染土壌の最終的な保管場所を明示するよう国に働き掛けを強める方針だ。