【田村市都路地区】 「商業施設」客足伸びず、新たな課題も

 
【田村市都路地区】 「商業施設」客足伸びず、新たな課題も

4月6日にオープンした「Domo」古道店。帰還住民の交流の場となる一方、客足は伸び悩んでいる現状だ

 原発事故に伴う避難指示が解除された田村市都路地区では4月6日、古道、岩井沢両地区に公設商業施設「Domo(ど〜も)」の2店舗がオープンした。帰還した住民の生活の利便性向上や交流の場としての役割を果たす一方、帰還住民の少なさから客足が伸び悩むなど、新たな課題も浮かび上がる。

 古道店の吉田光一店長(55)は「実感では戻ってきている住民は(都路地区全世帯の)3分の1程度。赤字にはなっていないが、廃棄になる商品も多い。先行きは不透明だ」と不安がる。客の7割が高齢者で、今後は送迎や特売の実施なども検討していくという。

 渡辺辰夫都路町商工会長(61)は「アンケートなどで客の要望を吸い上げて充実させたい。徐々に戻る人も増えてくると思うので、慌てずに一つ一つやっていく」と話した。

 【川内村】 放射線の不安根強く

 一部が原発事故の避難区域となっている川内村で4月26日、避難指示解除に向けた長期宿泊が始まった。政府は住民の理解が得られれば、3カ月経過後の7月下旬以降の避難指示解除を検討しているが、課題は山積みだ。

 昨年12月現在の対象世帯134世帯276人のうち、6日現在の申請世帯は20世帯42人と2割以下。原発事故の完全収束が進まない中、住民の放射線不安は依然根強い。

 買い物や通院などの生活圏だった富岡、大熊の両町は避難指示が続いており、生活面の負担も増した。長期避難によって自宅の老朽化が進み、すぐには帰れない住民がいる現状もある。政府は、長期宿泊期間中に住民懇談会を開き、避難指示解除の時期を決定したいとの方針を示している。