【県民健康調査】 「検討委」新体制から1年...議論深まらず

 

 東京電力福島第1原発事故を受けた県民健康調査の運営に助言・提言する検討委員会は、県が昨年5月に委員を刷新してから1年余が経過した。検討委をめぐっては、非公表の準備会開催や議事進行表の作製などが相次いで発覚、県民の信頼を揺るがす事態を招いたため、検査を行う福島医大の委員4人を交代させ、客観性の確保を図った。

 準備会開催に批判→個人的意見述べるのみ

 新体制による検討委は、昨年6月から今年5月まで計5回の会議を開催。県は「第三者の視点で議論されるようになり、運営の透明性が確保された」(県民健康調査課)と評価する。

 一方で、今年5月の検討委で清水修二座長代行が「検討委として責任ある対応をしようとすればきちんと協議をしなければならない。事前準備もせず、ぶっつけ本番で検討委の場に集まるだけでは結局、個人的な意見を述べるのみにとどまっている」と語るなど、検討委としての見解を示すための議論が深まっていないとの指摘も出ている。

 基本調査の問診票回答数(3月31日現在)は53万2046人分で、回答率は25.9%。県は回答率向上のため、昨年11月から簡易版の問診票を導入したが、回答率は前回集計(昨年12月31日時点)と比べ0.9ポイントの上昇にとどまっている。また、簡易版を含めた問診票の回答率は相双地区で最も高く、会津地区では低いなど地域差が生じている。