仮設「あちこちに傷み」 黒カビ、雨漏り...住宅事情が悪化

 
仮設「あちこちに傷み」 黒カビ、雨漏り...住宅事情が悪化

天井の黒カビを指さしながら「あちこちが傷んできている」と話す木幡さん=会津若松市の仮設住宅

 仮設住宅に住んで間もなく3年余り。原発事故に伴い、大熊町から避難し、会津若松市の松長近隣公園仮設住宅で暮らす自治会長の木幡仁さん(63)は「住宅のあちこちが傷んできている」と住宅事情の悪化に頭を悩ませる。

 同仮設住宅では、長期にわたる生活で、玄関の天井などに黒カビが生えてきた。このほか雨漏りや入り口のドアのストッパーが効かなくなった人もいるという。

 仮設住宅は壁が薄く、外壁に雪が接していると、自宅の中が湿る。木幡さんは「自分たちで簡単に修繕できず、困っている人は多い」と話し、町や県に住宅事情の改善を訴える。

 また、同仮設住宅には約220世帯が入居していたが、現在は約100世帯となり、空き部屋の増加が止まらない。子どものいる家庭から自立していくため、高齢者が多く残される現状にある。雪かきなどの力仕事は住民らで協力しているが、防犯などで心配な面もあるという。木幡さんは「仮設住宅で暮らしていて、問題を挙げるときりがない。最初のころよりも我慢強くなったので、何とか生活できている」と打ち明けた。

 県が一斉点検実施

 県は昨年11月から今年1月にかけて、県内の仮設住宅の一斉点検を実施、修繕が必要な住宅は個別に対応した。重大な欠陥は発見されなかったものの、屋外のスロープがすり減ったり、雨どいが壊れている箇所などが見つかり、修繕した。今年7月から2回目の一斉点検を実施、9月までの完了を目指している。