【震災関連死】整備必要な統一基準 本県、被災3県で突出

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【震災関連死】整備必要な統一基準 本県、被災3県で突出

 長期化する狭い仮設住宅などでの生活。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による避難などで体調を崩して亡くなる「震災関連死」が県内で後を絶たない。関連死の認定をめぐっては統一基準がなく、不認定とされた遺族が認定を求め訴訟を起こすケースが出ている。発災から時間がたち、震災と死亡との因果関係の特定が難しくなっている状況もあり、時間が経過しても遺族が認定を受けられる仕組みづくりが必要となっている。原発事故では家族との別居を余儀なくされた高齢者が「孤独死」するケースも目立つ。国や県、市町村に対策が求められるが、プライバシーなどの問題も絡み、行政が住民に向けるその目は行き届いていない。

 波田野さん、「母が生きた証し」申請

 双葉町の波田野秀行さん(64)は迷いながらも震災関連死を申請、認定を受けた。「原発事故がなければ」との思いはあるが、女手一つで育ててくれた「母の生きた証しを残したい」との気持ちが強かった。

 「母の着物を持って帰ろう」。数度目の一時帰宅となった2011(平成23)年6月26日。波田野さんは一時帰宅から戻り、病室の母サダさんを見舞った。その夜、サダさんは入院先の茨城県日立市の病院で亡くなった。85歳だった。

 双葉町長塚の自宅近くにある双葉厚生病院に入院していたサダさん。退院の許可が出たため、11年3月中旬にも自宅に戻る予定だった。原発事故で波田野さんは川俣町に避難、サダさんと離れ離れとなった。その後、波田野さんは親戚のいる日立市に移った。サダさんがどこに運ばれたか分からなかったが、同月下旬、白河市の病院に搬送されたことを知った。

 サダさんは避難で体調を崩していた。波田野さんは近くで看病したいと転院させた。サダさんを送り出した時、一時帰宅で持ち帰った着物を着せたという。

 遺骨は日立市の借り上げ住宅に置いてある。三回忌の時、いわき市の墓に納骨しようかと思ったが「七回忌の時、父が眠る双葉町の墓に一緒に入れてあげたい」ととどまった。時間がたつほど母への思いは強くなる。

 本県、関連死者数1704人 因果関係の特定難しく

 復興庁によると、今年3月31日時点の震災関連死者数(認定者数)は全国で3089人に上り、本県は1704人と半数以上を占める。宮城県は889人、岩手県は441人で、被災3県のうち本県が突出する。

 県は、認定者の中から災害弔慰金が支給された人の数をまとめており、9月1日時点で1753人に上り、直接死の1603人を150人上回った。県内市町村ごとの関連死者数は、南相馬市が458人と最多で、浪江町333人、富岡町250人、いわき市128人、双葉町111人と続く。同庁は「福島県における震災関連死防止のための検討報告」で本県の関連死者数が突出する状況について触れ、「避難生活が長期化する中、生きがいや希望、生きる意欲を持てないという精神面の影響が大きい」と指摘。避難生活のストレスが住民の体調悪化につながっているとの見方を示す。

 震災から3年6カ月を迎え「震災と死亡との因果関係の特定がますます難しくなっている」(県)状況で、医師や弁護士などで構成し市町村の認定について参考意見を述べる審査会の役割が大きくなっている。県も認定の円滑化に向け市町村の担当者を対象に意見交換会を開き、情報共有を図っている。

 2遺族、認定求め係争中 県内3訴訟 

 震災関連死の認定をめぐり、県内では不認定を受けた3遺族が自治体に認定を求める訴訟を起こした。自殺した、いわき市の男性=当時(65)=の妻が「自殺は震災と原発事故でうつ病が悪化したため」として、関連死と認めなかった同市に処分の取り消しを求めた訴訟で、福島地裁は今年5月、自殺と震災の因果関係を認めず請求を棄却する判決を言い渡した。

 妻は「震災前は穏やかな状態だった夫の症状が震災後に悪化した」と主張したが、同地裁は「震災で疾患が悪化したことが原因で自殺に至ったとは認められない」と判断した。遺族側は控訴せず、判決は確定した。

 このほか南相馬市を相手にした2遺族の訴訟で、遺族は原発事故による避難で体調を崩したり、悪化したために家族が死亡したと主張、同市はいずれも請求棄却を求め争っている。市は死因となった病気が震災から1年が経過し発症したことなどから「避難したことが直接死因に影響していない」などとし、関連死と認めなかった。