国、突然の"方針転換" 個人被ばく線量に基づいた除染へ

 
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 環境省は8月、除染の長期目標として年間追加被ばく線量1ミリシーベルトを堅持したが、県内市町村の多くが除染の目標とする空間放射線量「毎時0.23マイクロシーベルト」を除染の目標値ではないと否定、空間線量から個人被ばく線量に基づいた除染に転換する方針を打ち出した。新方針は、空間線量に基づく除染だけでは、個人被ばく線量の低減に結び付かない可能性があると強調。除染に加え、住民個人の被ばく線量の把握によって生活パターンを変更するなど必要な放射線防護を行うことが重要とした。

 また、同省の新方針策定に向けた勉強会に参加した福島、郡山、相馬、伊達の4市の個人被ばく線量調査から空間線量が毎時0.3〜0.6マイクロシーベルト程度の地域でも個人被ばく線量の平均が年1ミリシーベルト程度となるとのデータを提示。「0.23マイクロシーベルト」までの低減は必ずしも、年間被ばく線量1ミリシーベルトを達成するための条件ではないとの見解を示した。

 ただ「0.23マイクロシーベルト」について、国が十分に説明してこなかったとし、情報の伝え方に反省を示し、被ばく線量の状況と対策の考え方を正確に伝えていく方針も盛り込んだ。

 「0.23」市町村に浸透

 福島民友新聞社の調べによると、除染計画を策定して市町村除染に取り組む県内35市町村のうち、除染目標を「毎時0.23マイクロシーベルト」と計画に明記した市町村は「年1ミリシーベルト」との併記を含め21市町村に上る。併記の17市町村のうち、12市町村が「0.23」を優先して住民に説明し、除染実施に際して「0.23」が市町村に浸透している状況を示した。

 「0.23」の適用については、国のガイドラインで除染実施の判断基準とされていることや、測定器の値を示して住民に伝えやすいことなどが理由だ。

 27市町村は、住民が「0.23」を目標値と認識しているとの見方を示した。国の新方針提示に対し「住民に浸透しており混乱を招く」などとする市町村も多い。