「汚染水」との格闘依然続く 東京電力の対策"見えぬ効果"

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 東京電力福島第1原発では増加する汚染水との格闘が依然として続いている。政府と東電は地下水のくみ上げや建屋周囲の地下を凍らせるなど汚染水を増やさない抜本的な対策に着手したが、具体的な効果はまだ見えない。

 

 【燃料取り出し】ほぼ溶融、手探り

 福島第1原発で炉心溶融(メルトダウン)を起こした1〜3号機の廃炉作業は、燃料が溶融しているため取り出しに知見がなく、手探り状態が続く。特に3号機は東電が8月に公表した調査結果で、従来の推定より早い段階で炉心溶融が始まり、これまで約6割が溶け落ちたとしていた燃料のほぼ全てが原子炉内から外側の格納容器に落下したとみられる。

 3号機で溶け落ちた燃料は格納容器の底にたまり、一部は床面コンクリートを侵食しているとみられる。東電と国は原子炉上部からアーム状の専用機器を垂直に入れて溶け落ちた燃料を回収する方法などを検討していた。しかし、原子炉内に燃料がとどまっている場合と比べ、溶融燃料がたまった格納容器底部に専用機器が到達するには距離が長く複雑な構造物がある。燃料の回収は「困難を極める」(県原子力安全対策課)との見通しだ。

 

 【凍結止水】「氷の壁」凍らず

 福島第1原発の汚染水がたまる海側トレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)の凍結止水工事が難航している。東電はこれまで進めてきた凍結方法だけでは水の流れを完全に止められないことを認め、追加対策として止水材を投入する方針を打ち出した。

 2、3号機タービン建屋につながるトレンチには高濃度の汚染水計約1万1000トンがたまり、海への流出が懸念されている。東電は4月末からトレンチ内の汚染水を凍結させて「氷の壁」を造る作業を続けているが、水の流れがあるため十分に凍らず、大量の氷とドライアイスを投入しても効果は上がらなかった。東電は今月中旬以降に追加対策として止水材の投入に着手したい意向だが、計画が実現するかどうかは流動的だ。

 

 【タンク容量】目標、10万トン増へ

 東電は福島第1原発で発生した汚染水を保管する地上タンクの容量について、目標から約10万トン増やし、来年3月末までに計約90万トン分を確保する方針を打ち出した。

 現在、敷地内のタンクに保管している高濃度汚染水は約36万トン。鋼板の継ぎ目をボルトで締めた型のタンクは1基当たり1000トンの容量があるが、過去に汚染水漏れを繰り返し、耐久性が疑問視されてきた。強度が高い溶接型のタンクについては、横置きの従来品は容量が100トンにとどまるため1000〜1200トンの大型への置き換えを急いでいる。タンクに保管していても汚染水が漏れる危険性があるため、東電は62種類の放射性物質を取り除ける多核種除去設備(ALPS)で全量を本年度中に浄化する方針。

 

 【地下水バイパス】放出3万3000トン

 福島第1原発の汚染水対策で、1〜4号機建屋に流れ込む前に地下水をくみ上げ海に放出する「地下水バイパス計画」は5月21日の海洋放出開始から3カ月余りが経過。建屋周辺の地下水位は下がり始めているが「明確な効果は表れていない」(県幹部)のが現状だ。

 地下水の海洋放出はこれまで20回実施し、放出量は約3万3000トンに上る。東電は8月、専用井戸で観測した地下水位が5月の放出前に比べ約20〜30センチ低下したとの観測結果を示した。しかし、原子炉建屋などの地下に1日当たり約400トン流れ込む地下水を当初の計画通り約300トンまで減らすためには、水位を最大で1メートル程度下げる必要がある。

民友セレクション