「仮置き場契約」期間延長要請へ 迫られる地権者との協議

 
「仮置き場契約」期間延長要請へ 迫られる地権者との協議

 除染で出た汚染土壌などを一時保管する仮置き場をめぐり、環境省は仮置き場を設ける県内市町村に対し、「3年程度」としてきた設置期間の延長を要請する方針を示した。そのため、仮置き場の土地使用について賃貸契約の期間満了を間近に控える市町村は、地権者と契約延長を協議する必要に迫られる。

 県内の汚染土壌を搬入する中間貯蔵施設は建設に一定のめどがついたものの、搬入に向けた課題は多い。汚染土壌などは市町村除染だけで2000万トンを超え、全てを搬入するには数年が必要とみられる。仮置き場の土地は、3年程度では返還できない可能性が高い。

 市町村が設ける仮置き場は公有地のほか一般の地権者と契約を結ぶケースも多く契約期間は市町村によって異なる。中間貯蔵施設への搬入開始まで時間がかかることを想定し、期限を設定しなかったり、あらかじめ長めに契約した市町村がある一方、同省の方針を基に3年間を契約期間とする市町村も多い。

 

 二本松の仮置き場「17年3月までの土壌搬出、大前提」

 県内で最も多い277カ所に仮置き場を設けた二本松市は、一律で2017(平成29)年3月までの契約。担当者は「大前提として、国に17年3月までに全ての汚染土壌を搬出するよう最大限努力してほしい」と話す。期限を設けず1年ごとに契約を更新する福島市は「(搬出が進まない場合は)契約更新ごとにお願いするしかない」と、地権者に理解を求めていく方針だ。

 また環境省は9月末、いわき市で開かれた楢葉町議会の全員協議会で設置期間の延長を要請したが、ほかの市町村に対する正式な要請は現在まで行っていない。契約期間の満了が迫る自治体の担当者からは「国から正式に通知をもらわないと延長の交渉には入れない」と、同省に早期対応を求める声も聞かれた。