長引く避難、仮設住宅「劣化」 壁にひび、エアコン誤作動...

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長引く避難、仮設住宅「劣化」 壁にひび、エアコン誤作動...

「ここにひびが入っている」。仮設住宅の老朽化を気に掛ける菅野さん

 「ここにひびが入っているな」。福島市飯坂町にある浪江町の仮設住宅。入居開始から3年以上が過ぎ、自治会長の菅野栄一さん(63)は住まいの老朽化を気に掛ける。行政には「実情に則した配慮を」と求める。

 同仮設住宅への入居は2011(平成23)年6月から始まった。菅野さんは住民の要望を取りまとめている。当初は物置や雨どいの設置など、生活に必要な設備を求める声が多かった。次第に「街路灯の電球が切れている」などの要望も出始め、最近ではガスコンロの不具合やエアコンの誤作動、集会所の壁のひび割れなど住まいの「劣化」を指摘する声も増えてきた。

 県は昨年から、仮設住宅全棟の一斉点検を開始。屋外スロープなど住宅外部の損傷を中心に、補修工事を実施している。またそれぞれの自治会からの要望など、個別の相談にも応じている。県の担当者は「点検と住民の要望とのダブルチェックで、仮設住宅の老朽化に対応していきたい」(建築住宅課)とする。

 菅野さんはエアコンの整備で、ある高齢者の居室に業者と立ち入った時、足の踏み場もないくらい散らかっていたのが気になった。「自分の家なら、こんなに汚くしないはず。やはり『仮の住まい』の意識があるのだろう」と推測する。

 この仮設住宅では子育て世帯の退去が進み、現在の入居者は約300人。半数以上は後期高齢者だ。仮設住宅周辺の草刈りなどは住民が行ってきたが、最近では動ける人が少なくなってきた。今後は雪の季節を迎え、除雪機器の配備も必要という。菅野さんは「どの仮設住宅も高齢化が進んでいる。住環境で年齢に優しい配慮がなければ、本当に『うば捨て山』のようになってしまう」と警鐘を鳴らす。

 復興住宅の整備に遅れ

 東日本大震災の地震、津波の被災者と東京電力福島第1原発事故に伴う避難者を対象とする応急仮設住宅は1万6616戸(10月末現在)。このうち1万2628戸(入居率76%)の2万5084人が不自由な生活を強いられ続けている。一時的な避難が目的の仮設住宅は早期整備が可能な一方で、長期的な利用を想定していない。玄関先などにカビが発生したり、屋外のスロープがすり減るなどの不具合が生じ始めている。

 県は仮設住宅の一斉点検を行い、住宅の修繕や改良を進めている。また避難による生活環境の変化に配慮し、当初は1戸に1台としていたエアコンも2台にするなど環境整備にも取り組む。しかしプレハブ造りの狭い家屋での避難生活が続く避難者の不満は高まりつつある。

 災害救助法では仮設住宅の入居期限は原則2年だが、現在の期限は3度の延長を経て、2016(平成28)年3月末まで。地震、津波被災者向けの災害公営住宅は2672戸が同月末までに完成する見通しだが、原発事故避難者向けの復興公営住宅4890戸のうち同月末までに整備予定なのは半分以下の約2100戸にとどまる見通しだ。

 入居期限のさらなる延長は避けられず、仮設住宅暮らしが6年目に突入する避難者も相当数残ることが予想される。県には避難長期化を見据えた対策が求められている。

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