帰還へ追加除染やインフラ復旧 楢葉、生活の場確保懸念

 
帰還へ追加除染やインフラ復旧 楢葉、生活の場確保懸念

昨年7月にオープンした「ここなら商店街」

 ほぼ全域が避難指示解除準備区域で全町避難が続く楢葉町は春以降の住民帰還を目指し、追加除染や生活インフラの復旧など各種施策を進めている。現在は、職人の不足などを背景に住宅の修繕など町民が生活する場が確保できるかどうか懸念がある。

 同町の住民帰還が実現すれば、ほぼ全域で避難指示が出された町村で初となる見込みだ。住民の懸念が原発の安全性や、水道水や放射線量など多岐にわたる中、町は原子力や除染などに関する独自の検証委を設置しているほか、環境省による追加除染や町内千棟にも上る家屋解体も始まっている。

 昨年7月には飲食店やスーパーが入る仮設商業店舗「ここなら商店街」も町内にオープンしたほか、24時間営業のコンビニエンスストアも営業を再開。商工業では住友金属鉱山の誘致などに成功した。今後の焦点は、国による避難指示の解除時期に移る。また、復興庁が行った住民意向調査では、若年層の帰還への考えは高齢者に比べると低く、町はいかに若い世代が町に戻りたいと思える環境を整備できるかも鍵になる。