産業再生へ見え始めた"将来像" 国際研究産業都市構想

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産業再生へ見え始めた

 東京電力福島第1原発事故で、ほとんどの住民が住み慣れた古里を追われた双葉郡。国や県、町村は住民のにぎわいがよみがえった古里の未来を見据えて復興への計画や構想を描き、ロボット産業や研究機関が集積する「ふくしまロボットバレー」など、復興への青写真も見え始めた。第1原発の事故収束はまだ見通せないものの、事故から5年目に入ろうとする今、古里への帰還を願う住民の思いと重なり、復興への足取りが加速する。

 浜通りの産業再生への方向性を示した「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」は政府の研究会が昨年6月に報告書をまとめ、具体化に向けて動きだした。政府は東京五輪が開かれる2020(平成32)年を当面の実現目標としており、地元は「復興のエンジンになる」と期待する一方で「絵に描いた餅にならないか」との懸念もある。構想の実現に政府が責任を果たすか、県民の視線が注がれている。

 構想は、東京電力福島第1原発の周辺地域に廃炉や災害対応ロボットの研究開発の一大拠点を構築するのが柱。昨年9月に着工した廃炉の研究開発拠点「モックアップ試験施設(楢葉遠隔技術開発センター)」や、国内外の産学官が集結して連携を深める「廃炉国際共同研究センター」を核に、最新鋭の設備を導入したスマート農業、再生可能エネルギー産業の集積化など検討分野は多岐にわたる。

 関係省庁や県、市町村は分野ごとに具体策を話し合う検討会を開き、実効性のある中身を提案して政府に予算確保を求める構えだ。

 地域一体で基盤整備 復興庁、県と連携

 復興庁は県と連携し、原発事故で避難指示が出た被災12市町村の将来像の策定を進めている。12市町村による広域連携を前提に、学校や病院、商業施設などの日常生活に必要な機能を放射線量が低い拠点に集約する方向で検討している。

 将来像は、東京五輪が開かれる2020(平成32)年を当面の目標とした上で30〜40年後の長期的な計画に発展させる。人口の増減や帰還困難区域を含む放射線量の見通しを踏まえ、適正な規模での生活基盤を整える案が上がっている。

 同庁は昨年12月、有識者検討会を設け、これまで2回の会合で12市町村から復興計画の聞き取りを実施。夏までに提言をまとめ、16年度政府予算案に反映させる方針。座長の大西隆豊橋技術科学大学長は「12市町村を一つずつ分けるのではなく、役割分担を考えながら地域を一体として捉える必要がある」と指摘する。

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