「労災事故」3倍以上に増加 安全管理の甘さが浮き彫りに

 
「労災事故」3倍以上に増加 安全管理の甘さが浮き彫りに

 福島第1、第2原発では1月、作業員が死亡する労災事故が相次ぐ異常事態となった。

 このうち第1原発では、タンクを検査する際、天井部のふたを開けようとした協力企業の男性作業員が高さ約10メートルから落下して死亡した。

 廃炉作業を進める第1原発では本年度、昨年11月末までのけが人が40人(熱中症を除く)に上り、前年度同期に比べて3倍以上に増加した。労災事故防止の徹底を福島労働局から要請された直後だっただけに、安全管理の甘さがあらためて浮き彫りとなった。

 東電は、廃炉作業のスケジュールの遅れに対するプレッシャーや、1日7000人が働く作業員の熟練度や技術が高まっていないことが背景にあると分析している。

 事故後に行った安全点検では、約2週間にわたり作業を中断した。第1、第2原発とも現在は9割以上の作業が再開したが、東電は中断による遅れを「半月から1カ月程度」とみている。工程ありきではなく、安全を最優先に廃炉作業を進めることが求められる。