地域の拠点"再出発" 小峰城跡「三重櫓」、待望の再公開

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地域の拠点

三重櫓の一般公開の再開を心待ちにする渡部さん

 被災地では住居や道路などの復旧が進み、生活再建に向けた動きが加速している。津波で甚大な被害に遭った浜通りの沿岸部では、防災集団移転促進事業による高台移転や災害公営住宅の建設、港の整備など新たなまちづくりが本格化。地震被害から復旧した観光施設や、病院などの生活拠点も新たなスタートを切っている。

 「威風堂々としていて美しい」。東日本大震災によるひび割れの修復工事が終わった白河市の国指定史跡「小峰城跡」の三重櫓(やぐら)を見つめ、同城跡を拠点に活動する観光ボランティア「ツーリズムガイド白河」会長の渡部武さん(79)は感慨深げに語った。

 同城跡は震災で10カ所の石垣が崩れ、三重櫓も損傷した。「白河のシンボル」である同城跡が被災し、渡部さんは落ち込んだ。「城跡の素晴らしさを紹介するのが本来の仕事だが、震災後1年は観光客を城跡に案内しても『こんな状況です』としか言えなかった」と振り返る。

 渡部さんを立ち直らせたのは「福島を応援する観光客の気持ちに応えたい」との思いだった。県外から訪れる観光客に、同城跡や南湖公園など観光地の魅力と同時に、地震による被害の大きさも伝え、本県の被害が浜通りばかりではないことを訴えた。

 石垣の修復工事は、最も被害が大きかった本丸南面をはじめ3カ所が3月までに終了する見通し。4月19日から三重櫓の一般公開が再開される。観光客に「三重櫓と石垣が直ったらまた来てください」と言い続けてきた渡部さんは、公開再開が待ち遠しい。「城を見られなかった寂しさを味わった観光客が、桜の季節に来てくれるのが楽しみ。一人でも多くの人に来てほしい」

 医療復興貢献に期待 小野町綜合病院が移転新築 

 東日本大震災の地震で損壊し、ヤマト福祉財団からの助成を受けて移転新築した小野町の公立小野町地方綜合病院は1日、開院した。再スタートを切った新たな医療拠点は、田村地方のみならず、川内村など浜通りの医療復興への貢献も期待されている。

 地域で不足している婦人科や小児科の診療をはじめ、人工透析、訪問介護などを行う地域唯一の総合病院。震災では、築40年以上の旧館に亀裂が入るなどの被害に遭ったが、隣接する新館に機能を移して診療を継続した。

 入院患者は一時、新館や町の施設に移動。その後、一部の患者を須賀川市の病院に移した。また震災直後は、同町や田村市に避難してきた浜通りの住民の診察や、透析患者を受け入れた。震災後は双葉郡の医療機関が休診し、避難先の郡山市などの病院でも受け入れ切れなくなったため川内村からの入院・外来患者が急増したという。現在も避難先から帰還した同村民が受診に訪れている。

 双葉郡と県南地域の復興に向け重要な役割を担う同病院。新田俊幸事務長(58)は「期待の大きさを感じている。今後は24時間の救急医療体制を整えて復興に貢献していきたい」と話す。

 被災自治体、独自財源の確保課題

 4年間で膨大な復興予算が流れ込んだ結果、被災自治体では、歳入に占める市町村税などの独自財源の割合が著しく低下した。国の支援や復興事業頼みの状況が続く中、東京電力福島第1原発事故による避難などで人口が減少した自治体では、安定した独自財源の確保が課題となっている。

 いわき市は、歳入に占める市税収入の割合が2010(平成22)年度の38.5%から15年度一般会計当初予算案では7ポイント低下した。同市は原発事故後、周辺自治体からの避難者約2万4000人に加え、原発作業員や建設業者も急増。「復興バブル」で市民税や法人税は回復しつつある。だが市の人口は震災前より1万人以上減り、今後復興バブルが落ち着くと税収が減る可能性もある。市関係者は「一過性ではなく、住民が戻り安定した税収が保たれるのが健全な財政だ」とする。

 本県以外の被災地でも同様の問題を抱える。宮城県のある被災自治体の幹部は「復興予算で建てた災害公営住宅は、人口減が続くと家賃収入が減るため、維持管理費が自治体に重くのしかかる」と心配した。

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