いわきの新川さん、集団移転で転居後も交流継続「安心」

 

 防災集団移転で、いわき市錦町須賀から同市錦町ウツギサキに移った新川貴子さん(60)は「慣れ親しんだ土地を離れるのは寂しかったけど、津波など今後何か災害が起きたらと考えると、移転して良かったと思う」と話す。

 木造2階建ての自宅は海から約100メートルの場所にあった。東日本大震災で津波によって自宅は大きな被害を受け、建物の外側だけ残った。その後は避難所や借り上げアパートでの慣れない避難生活が続いた。

 防災集団移転を活用し、昨年11月に現在の住居が完成した。しかし、夫の博恵さんは同8月ごろに見つかったがんのため、今年1月に63歳で亡くなった。夫を亡くした寂しさはあるが、「完成してから40日ほどは自宅にいられた。安心していたのではないか」と感じる。

 集団移転で現在、周囲にはもともと交流のあった近所の住人も暮らす。錦町須賀の畑にも時々出向き、農作業で気を紛らわすこともある。「現在は1人暮らしだが、周りに明かりがあると安心していられる」としみじみと話した。