"健康不安"解消へ 甲状腺がんと被ばく「因果関係明確に」

 

 原発事故を受けた子どもの甲状腺検査は1巡目の先行検査を終え、本年度から2巡目の本格検査に移った。これまでに、1巡目の検査で異常なしとされた子ども8人が、2巡目の検査で甲状腺がんの疑いと診断された。このうち1人はがんと確定した。

 県民健康調査検討委は「放射線の影響は考えにくい」と従来の見解を維持するが、子どもの健康を守り県民の不安に応えるためには、「検査で甲状腺がんと被ばくとの因果関係を明確にすべき」との声も上がる。

 チェルノブイリ原発事故では4〜5年後に子どもの甲状腺がんが急増したため、県の調査では事故直後に実施した1巡目の検査結果と、2巡目以降の結果を比較し、放射線影響を調べる。検討委は、チェルノブイリ事故後に見られた甲状腺がんの患者は小さな子どもが中心だったのに対し、県の調査では一般的な甲状腺がんと同様、高い年齢で多くなる傾向がみられた。がんの発生率についても大きな地域差がみられないことなどから、現時点では放射線の影響に対し、検討委は否定的な立場を取っている。2巡目でがんが見つかった1人については、1巡目でがんを見逃した可能性などを指摘し「これまでの見解を変える要素ではない」との見方を示している。

 甲状腺検査の対象は1巡目が事故当時18歳以下の約37万人で、2巡目は事故後1年間に生まれた子どもを加えた約38万5000人。1、2巡目とも検査は2段階で、1次検査で超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形状などを調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定、BとCが血液や細胞を詳しく調べる2次検査に進む。

 1巡目でがんと診断されたのは86人、疑いは23人に上る。