"半農半電"で農業再生へ 「ソーラーシェアリング」を普及

 

半農半電に取り組む農地で、農業再生に向けた思いを語る高橋理事長=南相馬市原町区

 南相馬市のえこえね南相馬研究機構は、農業と太陽光発電を組み合わせた「ソーラーシェアリング」の普及に取り組んでいる。政府の「新しい東北」先導モデル事業にも選ばれ、被災地から新たな可能性の開拓を進める。高橋荘平理事長(38)は「売電収入を組み合わせた"半農半電"で、新たな農業の可能性を示したい」と意義を強調する。

 ソーラーシェアリングは日光と風通しを遮らないよう農地から数メートル上に太陽光パネルを設置し、省スペースで営農と発電ができる手法。原発事故の風評で農業収入の先行きが見通しづらい中、市民の「身の丈」に合った農業再生の方法を提示しようと、同機構が2013(平成25)年9月から取り組んでいる。

 同市原町区の農地約700平方メートルに太陽光パネル120枚(発電量30キロワット)を設置し、作った電気は東北電力に売電している。一部は日光が遮られるため、ソーラーシェアリングに適した作物を探ろうと大豆やニンニク、タマネギを育ててきた。近くブルーベリーやカボチャを植える予定だ。現在はこの農場だけだが、同機構は市内8カ所でソーラーシェアリングの取り組みを拡大しようと検討を進めている。「この取り組みは原発20キロ圏内も含めどこでも実施できる。基幹産業の農業再生に貢献したい」と高橋理事長。新しい東北、新しい南相馬発信へ夢を膨らませる。

 "顔の見える関係"構築へ まちづくりで相互理解 

 双葉町の町外拠点が整備されるいわき市勿来地区。町民を中心に200戸分の復興公営住宅が建設されるほか、郡立診療所や集会所などの施設も整備される。地元のまちづくり団体「勿来ひと・まち未来会議」が中心になり、町や町民、市、地元勿来地区の住民らの橋渡しを図ろうとしている。

 1月下旬に同町いわき事務所で関係者によるワークショップが開かれた。入居開始により想定されるまちづくりへの影響などについて互いに意見を交わした。

 「勿来地区も人口減少の流れの中にある。一方、復興公営住宅によって新たに人が入ってくる。入居者と地元住民が顔の見える関係を築き、この場所にできて良かったとお互いに感じてもらいたい」。同会議の室井潤会長(51)は取り組みの狙いを話す。同会議は今後、ワークショップのほか、先行整備された復興公営住宅の視察などを予定。相互理解への取り組みをさらに深めていく。