進む除染、潜む課題 「仮置き場設置」協議、福島市で支障

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 
進む除染、潜む課題 「仮置き場設置」協議、福島市で支障

袋が積み上げられる仮置き場。搬出時期は決まっていない=福島市

 福島市内の住宅除染は、計画している約9万5000戸のうち、ほぼ半数が終わった。市は年内の全戸完了を目指し、急ピッチで除染事業を展開している。これに伴い、仮置き場への除去土壌搬入も本格化。現在は市内13カ所で仮置き場の設置が決まっており、市は最終的に20カ所ほど必要とみている。

 「いつ(除去土壌を)持っていってくれるんだ」。地区住民との仮置き場設置についての協議で、必ず出る質問だという。市は、明確な答えを用意できず「複数年」などの曖昧な表現にとどまっている。市のある幹部は「国には『少なくとも何年はかかる』と線を引いてほしい。今は搬出時期の見通しすら、市民に伝えられていない」と明かす。

 中間貯蔵施設への搬出時期や輸送ルート、1日当たりの搬入量などは、今後検討が進められる。市除染推進室の荒井政章室長は「各自治体一律よりは、それぞれの市町村の除染状況や除去土壌量を考慮する必要がある」と指摘する。

 郡山、住宅は新年度に完了へ

 郡山市の一般住宅除染は2月末現在、全体計画約10万4000件のうち約8万1000件を発注、約4万7000件の作業が終わった。市は新年度中に全作業の完了を目指している。市によると、線量低下や作業の効率化が図られたことで作業スピードは上がっている。担当者は「天候に左右されるが安全、確実に進める」と新年度中の完了へ力を込める。一方、同市では、住宅除染で発生した土壌の大半は敷地内に埋設保管されている。遮蔽(しゃへい)された状態とはいえ、身近な場所に土壌があり住民からは早期の運び出しを望む声も上がる。

 中間貯蔵施設への搬出に向け、住宅密集地での土壌の取り出し法の確立や土壌を集約して輸送する「積み込み場」の確保が必要になってくる。また、道路除染は3081キロのうち完了したのは約190キロで全体の6.2%にとどまる。市は仮置き場の確保を進め、作業のスピードアップを目指している。

 35市町村で完了「20万4957戸」 

 県がまとめた市町村の除染実施状況(1月末現在)によると、35市町村で実施している住宅除染で、全体の計画数43万1042戸のうち完了したのは20万4957戸(調査のみで終了した2万7240戸を含む)で、前年同期の10万507戸(実施は34市町村)から倍増した。しかし、全体計画に対する進展は47.5%といまだ半分にも達していない。

 一方で、除染を行っても十分に空間線量が下がらないケースにも注目が集まり、除染の目標値が議論の的になったのもこの1年の動きだ。環境省は福島、郡山、相馬、伊達の4市との勉強会を経て、県内市町村の多くが除染の目標とする空間放射線量「毎時0.23マイクロシーベルト」を除染の目標値ではないと否定、空間線量から個人被ばく線量に基づいた除染に転換する方針を打ち出した。

 4月に双葉で作業に着手 国直轄の特別区域

 国が直轄で除染を行う除染特別区域は、4月に双葉町の避難指示解除準備区域で作業が始まり、年間の被ばく線量が50ミリシーベルトを超える帰還困難区域を除く全域で除染がスタートする。一方、原発事故から4年近くが経過し、帰還困難区域の除染について、国側からは、避難者の帰還意向が弱まっていることや多額の費用の面から「全てを実施するのは現実的でない」との見解が聞こえ始めており、今後の成り行きが注視される。

 帰還困難区域の除染は昨年9月に自由通行が始まった国道6号や、1日に全線開通した常磐道などの主要道路やモデル事業にとどまっている。環境省は帰還困難区域の除染について、各町の復興計画などに基づいて進める方針。