【浪江町・山田 慎一さん】 「大堀相馬焼」の灯を守る

 

 「無我夢中でここまで来たというのが正直なところ」。浪江町で江戸時代から続く大堀相馬焼の窯元「いかりや商店」を営んでいた。原発事故に伴う全町避難が続く中、「いつまでも後ろばかりを向いてはいられない」と、2013(平成25)年に白河市に窯を移し、「いかりや商店白河工房」として再開、新たなスタートを切った。

 2月に二本松市で開かれたシンポジウムでは、窯元仲間らとパネリストとして参加、古里の浪江町大堀地区を再現した模型を前に、大堀相馬焼の未来について語り合った。今なお家族6人で避難生活を送る中、震災から丸4年を迎えた。

 「材料の調達など、まだまだ解決すべき課題は多いが、早く震災前と同じぐらい作陶に時間を割ける生活が取り戻せるよう、頑張っていきたい」。古里への思いを忘れることなく伝統をつなぎ続ける。