【大熊町・山田  誠さん】 思い出を刻む"趣味の写真"

 

 大熊町熊から避難し、会津若松市の仮設住宅で生活する。古里を離れたが「新しい思い出を積み上げることで楽しく暮らせる」と前を向いて話す。

 約40年前には会津地方などで働いた。定年後は大熊町で写真を趣味に生活していたが、原発事故の影響で同市に避難した。「アルバム100冊以上を自宅に残してきた」と話す。徐々に会津での暮らしを思い出し、趣味の写真に精を出す余裕も出てきた。

 以前は浜通りの祭りの写真を中心に撮り続けていた。避難後は全国に出歩き、風景などをカメラに収めている。仮設住宅の集会場に写真を飾っていたところ、会津若松署復興支援係の警察官の目に留まり、同署ロビーにも掲示されるようになった。山田さんの写真は来訪者の語らいを生み出しており、署長から感謝状も受けた。

 「大熊で暮らしたい気持ちがある」と語るが、避難先でも思い出のアルバムをしっかりと積み上げる。