【私が描く「未来」・根本浩輔さん】 地元で整骨院の開業を

 

 津波で全壊した広野町の実家が昨年5月、再建された。まだ真新しさの残る家の庭からは、町の沿岸部で進む堤防の復旧作業が目に入る。「戻る度に風景が変わっています」。復興の前進を感じている。

 中学校の卒業式後、立ち寄った友人宅で震災に遭った。自宅は津波にのみ込まれ、身の回りの物は全て失った。そして、原発事故に伴う避難。家族と共に避難先を転々とし、落ち着いたいわき市の借り上げ住宅から3年間、高校に通った。「避難先や高校の仲間、そして中学校時代の友人の助けで、避難生活を乗り越えることができた」

 今は柔道整復師の資格取得を目指し、郡山市の専門学校に通う。市内の学生寮に1人暮らし。柔道整復師は、バドミントンを続けていた中学生の時から、なりたいと思っていた。まだ座学が中心だが、2年目になるこれからは実技も本格的に始まる。時間を見つけ、実家にも戻るつもりだ。「落ち着くし、友人も多いから」

 最近、身体に障害のある子どもたちの体をほぐすボランティアにも参加し始めた。「被災後も不自由なく生活できたのは助けてくれた人たちのおかげ。将来、人に感謝される仕事ができれば」と考えている。町内で整骨院を開くことが今の目標だ。