ふくしま震災遺産保全プロジェクト実行委事務局・高橋満氏に聞く

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ふくしま震災遺産保全プロジェクト実行委事務局・高橋満氏に聞く

「震災遺産の保全を通して福島の今を未来へつなぎたい」と話す高橋氏

 地震や津波、原発事故の被害状況を物語る「震災遺産」を保存し、後世に災害の記憶を引き継ぐ「ふくしま震災遺産保全プロジェクト」。県立博物館などが本年度から始め、震災遺産の収集や調査を急いでいる。実行委員会事務局の高橋満県立博物館主任学芸員(45)にプロジェクトの意義などを聞いた。

 --震災遺産とは。

 「震災を知る人がいなくなれば震災の記憶は引き継がれなくなり、途切れてしまう。後世になると震災が歴史の一コマにすぎなくなる。そこで震災遺産を集めて保存し、福島で何が起きていたかを次世代に残せるようにしたい。(震災が起きた)午後2時46分を指す美容室の時計や、津波の威力を物語るひしゃげた道路標識、配達されなかった朝刊、津波で被災した駅の改札口のほか、津波の爪痕を残す建物の三次元データなど多岐にわたる。既に100点ほどが集まっている。がれきの中に人の歴史と生活が詰まっている」

 --収集、調査活動から見えてきたこととは。

 「津波などの被害を直接受けた物のほか、原発事故の影響も震災遺産といえる。例えば、消えた人の営みや地域の記憶、非日常の景観などが挙げられる。多様な見方で、収集・保全を図るとともに、資料に関する説明もしっかりと残したい」

 --課題と今後の展開を。

 「(避難指示区域の)立ち入り制限が少しずつ緩和され、住民の往来や建物の解体、復旧工事が進んできたため資料がなくなりつつある。(保存に向けて)ここ数年が勝負と考える。また膨大な収蔵品を保管する場所が足りないため、収集ができないこともある。今後は展示会や報告会も活発に開いていきたい。震災遺産の保全を通して震災の風化に歯止めをかけ、震災の記憶を将来につなげていきたい」

 たかはし・みつる 宮城県栗原市出身。明大文学部卒、同大大学院文学研究科修了。2000(平成12)年に県教育庁学芸員となり、県文化振興財団などで勤務。県立博物館主任学芸員。

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