「進路を自分で切り開く柔軟性を」 今泉理絵福島大特任助教

 

 震災、原発事故は、避難を強いられた子どもの就職や進学といった進路にも大きな影響を与えた。相双地区にあった高校の進路指導の教員が毎年生徒に勧めていたような「既定路線」の地元企業とのつながりが、避難に伴いなくなった。「原発事故直後、意向に反して県外就職を選ばざるを得なかった生徒も多かった」。福島大うつくしまふくしま未来支援センターで子どもや若者のキャリア支援に当たる今泉理絵特任助教(46)は振り返る。

 就職や進学を前にした生徒たちは、避難によりそれまで関心がなかった分野にも興味を持たざるを得なくなった。今泉特任助教は、原発事故による避難という経験をむしろ好機ととらえ、自らの可能性を拡(ひろ)げてほしいと考えている。「この経験をチャンスととらえるのはやや乱暴かもしれないが、自分の進路を自分で切り開く柔軟性をこの機会に身に付けてほしい」。過酷な経験をバネにした子どもたちの活躍に期待をかける。