「国際研究都市構想」始動 災害対応ロボットの研究開発拠点

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 東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた本県沿岸部を、原発の廃炉や災害対応ロボットの研究開発拠点とする「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」が動きだした。国や県は産業復興の柱と位置付けるが、生活環境の整備など課題も多く、実現までには紆余(うよ)曲折が予想される。

 「ブーン」。氷点下近くまで冷え込んだ相馬市の産業廃棄物処理場。山積みとなった除染廃棄物が入った袋「フレコンバッグ」を眼下に、機械音を響かせながら小型無人機「ドローン」が飛び回る。

 この場所は昨年、同構想の一環として「福島浜通りロボット実証区域」の一つに指定された。ダムや橋など自治体が多様な場所を用意し、使用を希望するドローン開発企業に無償で貸し出す仕組みだ。

 試験飛行を行った「MTS&プランニング」(福島市)の担当者は、「通常なら使用許可を得るのが難しい場所で試験できるメリットは大きい」と手応えを口にする。

 楢葉町では、第1原発の廃炉に向けた遠隔操作機器を研究開発する拠点も昨年から一部稼働。復興への切り札と目される同構想に具体的な動きが出始めている。

 国と県は新年度から、構想の核として災害対応ロボットの屋外テスト場や研究施設も整備する計画。国内外の研究者が集う放射線や廃炉の研究拠点も合わせ、東京五輪が行われる2020年までをめどに新産業を集積し、福島復興の象徴とすることを目指す。

 ただ、実現までの道は平たんではない。財源確保など長期的な支援を国に確約してほしい県に対し、地元の主体的な関与を求める国―。事業の多くは大枠が決まりつつある段階だが、誰が事業の責任を持つのかをめぐり「水面下では国と県の間で激しい交渉がある」(県幹部)。

 沿岸部の自治体では「拠点だけ整備しても住民が戻らなければ意味がない」との不安の声も根強く、構想が「絵に描いた餅」になりかねないとの懸念は払拭(ふっしょく)されていない。

 産業基盤とともに生活環境を整え、コミュニティーの再生にどうつなげるか。大きな期待の一方で、課題も重い。