「ふくしま健民カード」で体づくり 健康メニュー達成でポイント

 
トレーニング室で汗を流す二本松市民=城山総合体育館

 東京電力福島第1原発事故後に悪化した県民の健康を回復するため、県は今年から、二本松、西会津、新地の3市町で「ふくしま健民カード」の交付を始めた。健康教室への参加や健診受診など各市町村が設定した健康づくりのメニューを達成してポイントをためると、協力店で商品やサービス割引などの特典を受けられる仕組みだ。

 ■二本松市 50人が目標達成

 二本松市はこれまでに2度、健民カードの発行に必要な「運動目標実行ポイント」が記入できる用紙を新聞折り込みに入れた。2月末現在で約50人が30日の運動目標を達成、カードの交付を受けた。

 同市では、各自が体力や健康状態に合わせて「1日○歩」「○分のウオーキング」など目標を設定して運動に取り組む。実行した日付けを記録して市に申告すると、1日1ポイントが付き、30ポイントでカードが交付される。

 同市は昨年、健康づくりの足掛かりとするため、運動や健診受診でポイントがたまる「国民健康保険健康マイレージ」を実施した実績がある。健民カード事業を担当する関根修市国保年金係長は「カードを受け取り『医者に行く回数が減った』と話す人もいる。事業をきっかけに、新たに運動を始める人が1人でも増えてほしい」と話している。

 ■新地町 目的持って運動

 新地町は2月末現在で約20人にカードを交付した。町保健センターの担当者によると、震災前と比べ町民の肥満や脳血管疾患、心疾患が増えていることが、健康診断の結果で分かっているという。町民の健康行動では震災後、ウオーキングなどをしている人が減少、約5年が経過して元に戻りつつあるが、震災前の水準には至っていない。町は、町民に目的を持って運動不足解消に取り組んでもらおうと新年度から取り組みを本格化させる。

 ■西会津町 商品券にも交換

 西会津町は町民の健康づくりを習慣化させようと、県の事業に先行して昨年11月から18歳以上の町民を対象にポイント事業を始めた。町のイメージキャラクターがデザインされた「健康がいちばん こゆりちゃん健康ポイント手帳」を、希望者や町のイベント開催時などに配った。

 町は震災前から「健康」「長生き」などの視点でさまざまな施策を展開してきたが、震災後は、これまで以上に健康を意識する町民が増えているという。

 手帳に体重や血圧、歯磨きの有無などを毎日記入することで、ポイントが加算される。町は3カ月間のポイントを集計。100ポイント以上たまると「ふくしま健民カード」を受け取ることができる。達成感が高まるよう、400ポイント以上で同カードに加え健康グッズなどの記念品、500ポイント以上で商品券などがもらえるよう工夫をした。