【福島県民へメッセージ】乙武洋匡さん、阿刀田高さん

 
乙武洋匡さん

 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から丸5年の節目を前に、復興支援で県民と絆を強めてきた各界の著名人たちが応援メッセージを寄せた。復興道半ばにある県民に寄り添い、元気づけようとする全国からのエールを背に復旧、復興に向かって一歩一歩、着実に進んでいきたい。(メッセージは原文のまま)

 作家・乙武洋匡さん(ふたばの教育復興応援団) 

 5年前に起こった震災は、日本中に驚きと深い悲しみを与えました。その逆境にくじけることなく、そこから立ち上がり、ふたたび前を向いて歩き出したみなさんには、それがどれほど苦難に満ちた道のりだっただろうかと拝察するとともに、心から敬服いたします。

 しかし、なかには「いまだ立ち上がることができていない方々」がいらっしゃることも想像に難くありません。そうした方が一人でもいるかぎり、私たちはこれからも思いを寄せ続けます。

 作家、前日本ペンクラブ会長・阿刀田高さん

 「海よ、よみがえれ」

 過日、北海道へ飛ぶ飛行機の窓から福島県沖の海を見た。快晴のもと、青く美しい海だった。わけもなく遠藤周作の言葉を思い出した。"海がこんなに美しいのに、主よ、人間は哀(かな)しいのです"と。哀しい海、しかし大自然に罪はない。人間がそれを力強くよみがえらせなければなるまい。がんばろう。