【川俣・山木屋】 仮設避難の住民「都市部の生活慣れた」

 
【川俣・山木屋】 仮設避難の住民「都市部の生活慣れた」

 「避難先での暮らしは、通勤時間が短くなり、買い物や病院などに行くにも便利。都市部の生活リズムにも慣れてしまうんだろう」。原発事故で川俣町山木屋から町内の仮設住宅に避難する男性(65)はこう話す。

 男性の家族は避難に伴い、自身と妻は川俣町内の仮設住宅、息子世帯は福島市内に分かれて生活している。息子夫婦は、一緒に住んでいた山木屋地区に戻る考えを現在のところ持っていない。男性は「孫が(避難先での)学校生活にも慣れた。福島市に勤めている息子夫婦の通勤時間は山木屋に住んでいたころよりも20〜30分ほど短くなった」と話す。息子夫婦は福島市内に新居を構える計画を練っているという。

 男性は「故郷で過ごしたい」と願う。一方、30〜40代が将来の生活設計を立てようとする時、あえて避難区域となった土地に戻ることを選ぶメリットを見つけづらいだろうとも思う。「若い人たちは震災前から都市部に通勤していた人が多いし、これから田舎暮らしに戻る利点をどこに見つけるだろうか」。寂しそうに語った。