事業再開...課題多く 「地元で」全体の2割、再開を断念も

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事業再開...課題多く 「地元で」全体の2割、再開を断念も

 東京電力福島第1原発事故による避難区域などで事業を再開したのは、東日本大震災から4年半がたとうとしている今も、震災前の約2割にとどまっているのが現状だ。課題が多い中でも事業を再開し前を見据える事業者がいる一方、帰還困難区域では、将来が依然として見通せない。商工業者に対してこれまで営業損害を賠償してきた東電は2017(平成29)年2月末分までを支払った後、被害状況に応じた個別対応に移す方針。「事実上の打ち切りでは」との商工業者の懸念は消えない。

 県商工会連合会によると、東京電力福島第1原発事故に伴い、避難区域となった範囲に店舗や工場のあった加盟2840事業所のうち、地元で再開したのは8月20日現在、約20%の577事業所にとどまる。

 同連合会によると、除染作業などの需要が高い建設業の事業再開率は高いが、地域のコミュニティーがなければ再開しにくい小売業や飲食業、サービス業などの事業再開率は低い。若い後継者が県外に避難してしまうなどでいなくなり、再開を断念するケースもあるという。

 同連合会の担当者は「安全対策に時間を要する中、放射線に対する不安が払拭(ふっしょく)されないと(住民が帰還せず)事業再開は厳しいのではないか」と懸念する。

 避難先などで事業再開した事業所を含めると、再開したのは1607事業所。同連合会は、避難先で事業を再開して売り上げが震災前水準に戻った事業所が、地元に戻って事業を再開することなども視野に入れるが、「地元に戻って売り上げが減少した場合の補償は必要。その逸失利益は原発事故に起因するものだ」と指摘。事業再開への課題は山積している。

 賠償方針に不信感 

 東京電力は、福島第1原発事故に伴う商工業者への今年3月以降の営業損害賠償について、2017(平成29)年2月末までの2年分を一括払いした上で、その後は被害状況に応じて個別対応に移るとしている。

 避難区域内の事業者には、原発事故前の利益に基づき、利益の2年分を賠償金として一括で支払う。区域外の事業者には、賠償金が支払われた今年2月末までの損害額を踏まえ、風評被害で落ち込んだ分の収入の2年分を一括で賠償する。

 東電の方針に対し、県内の商工業者は「2年分で賠償が打ち切られるのではないか」と不信感を募らせているが、東電の広瀬直己社長は8月5日の県議会全員協議会で「(2年分の支払いが)賠償の打ち切りや終期ではない」と明言した。

 営業損害賠償をめぐっては、政府と東電が昨年12月、今年2月末で賠償の期限が切れることから、1年分のみを追加して打ち切る方針を示したが、地元の強い反発を受け撤回、再検討した。