がんとの関係は... 甲状腺検査、「放射線影響考えにくい」

 
がんとの関係は... 甲状腺検査、「放射線影響考えにくい」

 子どもの甲状腺検査では、昨年度からの2巡目の検査で、これまでに25人が、がんや「がんの疑い」と診断され、このうち6人は、がんの診断が確定した。25人中23人は、原発事故直後から3年目までに行われた1巡目の検査で「問題ない」と診断されていた。県民健康調査検討委は「これまでの知見で判断すれば、現時点で放射線影響は考えにくい」との認識を変えていない。

 1986(昭和61)年のチェルノブイリ原発事故(ウクライナ)では、4〜5年後に子どもの甲状腺がんが急増。このため、県は1巡目の結果を放射線の影響がない現状把握のための基礎データとし、2巡目以降でがんが増えるかどうかなどを調べる計画だ。1巡目検査では、約30万人のうち、がんや「がんの疑い」と診断されたのが112人で、このうち98人ががんと確定している。

 検討委はこれまで、チェルノブイリ原発事故と比べて被ばく線量がはるかに少なく、福島第1原発事故では事故時5歳以下のがんの発見がないことなどから、放射線影響について否定的な見解を示している。しかし、「検査で見つかっている甲状腺がんと原発事故との因果関係を明確にすべき」との声もあり、県は放射線被ばく影響があるかどうかの研究も進めていく考えだ。

 

 検査への関心、依然高く ひらた中央病院・対策研究所

 平田村のひらた中央病院にある震災復興支援放射能対策研究所は、独自に内部被ばく検査や甲状腺検査を行っている。世界初の乳幼児向け内部被ばく測定装置「BABY SCAN(ベビースキャン)」も導入した。受検者数は、原発事故から月日がたつにつれて減少してきたものの、それぞれの検査にニーズがあり、検査への関心の高さがうかがえる。

 同研究所は、18歳以下の検査を無料とし、民間医療機関の立場で県民の健康管理に協力。受検者数は7月末現在、ホールボディーカウンターによる内部被ばく検査(2011年10月開始)が5万5339人、甲状腺検査(13年3月開始)が9997人、ベビースキャン(13年12月開始)は1673人。内部被ばく検査の担当者は「当初は不安で検査を受ける人が多かったが、今は内部被ばくの実態が分かったことや、時間の経過で意識が薄れていたり、一度、検査を受けて安心している人も多いと思う」と受検者の心境の変化を話す。