【震災記録施設】 「教訓」次世代託す 情報発信・人材育成

 
【震災記録施設】 「教訓」次世代託す 情報発信・人材育成

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から4年半。本県ではいまだに10万人以上が県内外で避難を続ける。避難区域の解除が進みつつあるが、事故の爪痕は残り、住民が心に負った深い傷は癒えることはない。その中で震災や原発事故の現状を広めようとする取り組みが動きだした。「伝えたい」。この強い思いを胸に続けられる継承活動。教訓は、未来ある次世代に託されようとしている。

 震災と原発事故の記録、伝承を目的に資料展示や研究を進めるアーカイブ拠点(震災記録施設)について、県は東京五輪に合わせた開所を目指し、来年度から基本構想の検討に入る。有識者会議がまとめた県への報告案では、名称を「ふるさとふくしま再生の歴史と未来館(仮称)」とし、世界に例のない複合災害の教訓を生かすことや、復興の加速化に役立つ施設とすることなど三つの基本理念を掲げた。

 報告案には、施設に展示・交流、資料、研究の3エリアを設け、効果的な展示やリアルタイムでの情報発信に加え、人材育成や教育、地域コミュニティーの再生などの機能も持たせた。

 廃炉に向けた取り組みや被災市町村の復興の過程を紹介したり、災害対応ロボットを展示するなどの案も盛り込まれた。

 施設の整備は、政府の福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の一環。県は報告案を基に、国に対し施設の在り方を提案する方針だ。県は国による施設の設置運営を求めているが、過去の震災で国が記録施設を整備した例はなく、設置者はいまだ決まっていない。