サブドレン...風評の悪化懸念 事故のない安定した運用を

 
サブドレン...風評の悪化懸念 事故のない安定した運用を

サブドレン計画で風評が悪化しないよう、漁業者は祈るような気持ちで試験操業を行っている=1日、相馬市・松川浦漁港

 東京電力福島第1原発の建屋周辺の井戸などから地下水をくみ上げ、浄化後に海洋放出する「サブドレン計画」は、県内漁業者の容認を経て3日に本格始動した。「サブドレン計画で本県漁業が後退してはいけない」。計画の実施による風評の悪化を懸念しながら、漁業者は一様に東電の誠実な対応を求める。

 今季の底引き網漁が始まった1日の相馬市・松川浦漁港。「風評被害の悪化は絶対に避けなければならない」。サブドレン計画の始動を前に、相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長(59)は言葉に力を込めた。同漁協が計画受け入れを決めた背景には、「漁業復興の絶対条件は第1原発の廃炉」との信念がある。計画容認は、漁業再生の前進を願っての「苦渋の決断」だった。

 同漁協の阿部庄一参事(59)は「『放出するのは放射性物質を取り除いたきれいな水だ』という周知について、有事の迅速な公表と合わせ東電に徹底を求める」と話す。風評の悪化を防ぐためにも「浄化した基準値未満の水」を放出する点を強調すべきと指摘した。同漁協組合員で、ノリ養殖業の花沢昭夫さん(73)も危機感を募らせる。松川浦の名物だった青ノリは、今季も流通を前提にした養殖を見送る。「汚染水漏れの度にノリ養殖の再開は停滞してしまう」。サブドレン計画について事故のない安定した運用を求めた。