「湯川のコメ」寄付者に人気 ふるさと納税でイメージアップ

 
「湯川のコメ」寄付者に人気 ふるさと納税でイメージアップ

収穫を目前に控え、稲穂の実り具合を確かめる小久保さん=9月、湯川村

 コメどころ会津の中央に位置する湯川村は、ふるさと納税で特産のコメを全国にPRするなど、本県農産物のイメージアップに取り組んでいる。同村のコメ農家小久保義直さん(54)は「村の稲作に懸ける思いは強い。おいしいコメをつくることで希望を持ちたい」と話す。

 同村の盆地特有の粘土質の土壌は稲作に適しており、他の地域より一回り粒が大きい、高品質なコメが取れるという。今年も「出来は上々」と小久保さん。県内で長雨が続いているが、天候次第で収穫ができるところまで稲が実った。

 コメどころとはいえ、風評被害や米価の下落、生産者の高齢化など取り巻く現状は厳しく、小久保さんら若い世代が高齢の生産者の田植えや稲刈り作業を受託することも多くなった。それでも、昨年は全国からふるさと納税の申し込みが寄せられたことが、コメをつくる励みになったという。

 震災による風評被害払拭(ふっしょく)と生産農家支援を目的に、村が昨年から始めた、ふるさと納税の寄付者にコメ1俵(60キロ)を贈る取り組み。昨年は全国から3626人の寄付の申し込みがあり、寄付金合計は約1億900万円に上るなど、注目を集めた。今年はさらに寄付金額に応じて「コメ2俵」も選べるようになり、受け付け開始直後から申し込みが殺到。8月末で締め切ったが、昨年の3倍を超える3億6000万円もの寄付が全国から寄せられた。

 ふるさと納税をめぐる取り組みには、村ばかりでなく、小久保さんも確かな手応えを感じている。「また食べたいというリピーターが多いことがうれしい。今年も全国においしさをアピールしていきたい」。風評払拭に向けて間もなく、収穫の秋を迎える。