富岡・60歳以上「全体の52%」 ストレス主因、健康悪化懸念

 

 県や県社会福祉協議会、市町村などの担当者は、仮設住宅で暮らす人たちの高齢化率が今後高まっていくと推測する。

 富岡町の仮設住宅の住民を年代別に集計した数値(9日現在)を例に挙げると、60~79歳の割合が突出しており、60歳以上の割合は全体の52%を占める。町の担当者は「仮設住宅団地の自治会運営が難しくなってきているところもある」と高齢化の影響の一例を挙げた。

 高齢化の背景として、高齢者は精神的、体力的に自立するのが難しかったり、若い世代に比べ古里への帰還意識が強いため、避難元以外で新たに住宅を求めるケースが少ないことなどが考えられるという。県は、仮設住宅の入居期間を原則2017(平成29)年3月までとしているが、避難区域がある町村は追加延長を個別に判断することになっており、仮設住宅の住民の高齢化への対応は当分の間必要になってくる。

 県社会福祉協議会の担当者は、仮設住宅から転居する人が増えることで住民、特に高齢者が孤立化し、健康悪化につながることを懸念。「家の中に引きこもらないよう交流事業などが今まで以上に重要になるだろう」と指摘する。また、仮設住宅から転居する人が増えることで仮設で暮らす高齢者が焦燥感を抱き、ストレスによる健康悪化につながることも考えられるという。

 担当者は「1995年の阪神・淡路大震災でも最後まで仮設住宅に残ったのは高齢者だった。今後は、生活状況を把握する意味でも生活支援相談員らが高齢者と接触する機会を増やし、孤立感を和らげる必要がある」と話す。