中小企業基盤整備機構・矢内友則センター長に聞く

 
「住民がどれくらい戻ってくるかが事業者の悩み」と話す矢内センター長

 本県と宮城、岩手の被災3県の仮設店舗入居者のなかには元の店舗で営業再開したり、新たな店舗を構えて、自立再建を果たした事業者もいるが、苦境を抜け出せないケースも少なくない。仮設店舗からの自立再建について、被災地域で仮設施設を整備している中小企業基盤整備機構で本県を担当する中小企業震災復興・原子力災害対策経営支援センター福島の矢内友則センター長(50)に聞いた。

 ―本県の仮設店舗の設置状況は。
 「商店街、個々の店舗合わせて41カ所ある。福島県は他県と異なり、『店舗の本格再開に向けての第一歩』というより、『避難住民や帰還住民に必要なサービスを提供している』という性格の施設が多い」

 ―仮設共同店舗に入っている事業者の現状は。
 「開店当時との状況変化や、事業者ごとの事情があり、『一緒に商店街を続けよう』という事業者と、『独立した店舗を持ちたい』という事業者に分かれてきている」

 ―これから自立再建に向けての課題は。
 「避難指示が解除された地域で元の店舗を再開しようとしても、どれだけの住民が避難元に戻ってくるか見通しがつかない。小売業などの事業者は地域住民との結び付きが強い。一方で、帰還の判断については住民それぞれに事情がある。事業者が意欲をもって再開できるような環境を整備することが必要だ」