「高線量」続く建屋内 第1原発、廃炉へさらなる除染急務

 

 第1原発の構内全体では除染などによる放射線量の低減で、2014(平成26)年度は全作業員が累積被ばく線量の上限年間50ミリシーベルトを下回った。しかし事故で水素爆発した原子炉建屋周辺は、放射線量が高くいまだ全面マスクの着用が必要だ。

 建屋内はさらに線量が高く、人が入って長時間作業することが困難な場所も少なくない。2号機原子炉格納容器内の調査でロボットを投入する配管付近では、最大毎時約10シーベルトと、短時間の被ばくで人間が死亡するとされる極めて高い放射線量が確認されている。

 長期に及ぶ廃炉作業を確実に進めるため、作業員が過度に被ばくして現場を離れることを防がなければならず、建屋内外のさらなる除染が急務となっている。

 また、1月には地上約10メートルのタンク最上部から作業員が転落する死亡事故が発生。8月には、バキュームカーのタンクのふたに頭を挟まれ、作業員が亡くなった。体調不良によるとみられる死者も出た。

 構内では1日約7000人の作業員が働いており、国や東電には廃炉作業の安全管理に加え、作業員の健康管理への対策も求められている。