福島大行政政策学類教授・阿部浩一氏に聞く 「生活文化」継承を

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「未来の人の知る権利に応えるため、しっかり残す必要がある」と話す阿部教授

 原発事故の避難区域内にある歴史資料の「救出」などに取り組む「ふくしま歴史資料保存ネットワーク」代表の阿部浩一福島大行政政策学類教授に、活動の課題や意義を聞いた。

 ―歴史資料保存活動の現状は。
 「市町村主体で個人所蔵の資料の保全が進められている。所在確認が難しく、まずはこうした活動が進められていることを広く周知することが必要だ。市町村間の情報共有を促進することも求められている」

 ―課題となっているのは。
 「長く続く活動なので、マンパワーと予算、活動拠点の確保が必要。震災直後はボランティアに頼ることもできたが、5年もたつとそれも難しく、今後も安定して活動に取り組む上で懸念がある」

 ―歴史資料保存の意義をあたらめて聞きたい。
 「個人資料の収集をしていると、小学生がお正月に書いた書き初めなども見つかる。私たち現代人にとっては無価値かもしれないが、後世の人にはかつての生活文化を知る手掛かりになり得る。『未来の人の知る権利』に応えるために、私たちには資料を残しておく責任がある。散逸の危機にある避難区域内の資料収集を進めることで、数百年後、原発の避難区域が最も資料が残っている地域になる可能性もある。こうした資料の蓄積がその土地の歴史。避難者のためにも資料を残しておく意味があると思う」

 あべ・こういち 東京都出身。東大大学院を経て2014(平成26)年から福島大行政政策学類教授。48歳。