【起き上がり小法師】〔楢葉・鈴木工務店〕誇りを胸に住宅建築

 
「住宅は一生の買い物。責任のある仕事を続けたい」と話す鈴木さん

 住宅などの新築やリフォーム、外構、解体工事を手掛け、双葉郡やいわき市で高い住宅建築のニーズに対応している。店の2代目で2級建築士の鈴木州治さん(42)は「地元の工務店なので、双葉郡を中心にお客さまに信頼して仕事を任せていただいている。住宅は一生の買い物。責任のある仕事を続けたい」と職人としての誇りを胸に家づくりに打ち込む。

 大熊町のJR大野駅近くにあった事務所は原発事故で帰還困難区域となり、震災前の従業員は避難で各地に散り散りになった。鈴木さんは大工仲間と共に仮設住宅の建設に参加、再起への足掛かりを模索した。

 2012(平成24)年には楢葉町の避難指示解除を見据え、いち早く同町北田の国道6号沿いに用地を求めた。昨年9月に避難指示が解除されたことを受け、今年3月に当面の拠点となる新しい事務所を構え、事務員も雇い入れた。

 現在は自社施工に加え、協力企業の力を借りながら受注しているが、事業拡大には大工など職人の確保が課題だ。「家づくりには熟練の技が必要。状況を見ながら、優れた職人を確保したい」と解決策を探る。

 被災した建物の罹災(りさい)調査のため、大熊町の現場へ入る機会もある。鈴木さんは時が止まったかのような古里の姿を目にするたびに、事業再建への決意を新たにする。「一日も早く大熊に戻り、震災前以上の仕事をしたい」。