福島の子育て...着実に 誤った情報信じる人に『正しい数字』を

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 「福島ではもう子どもを産めない」「福島では人工妊娠中絶の件数が増えているらしい」。東京電力福島第1原発事故後、放射線被ばくへの不安から、インターネット上などで根拠のない虚偽情報が飛び交った。実際は震災後に中絶件数の急激な変化はみられず、女性が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率と出生数は震災と原発事故後、一時的に減少したが再び増加傾向にある。震災直後の誤った情報を信じ込んでいる人たちに、本県に関する正しい数字を示すことが風評払拭(ふっしょく)につながる。

 県内の件数減少傾向 人工妊娠中絶実施率

 15~49歳の女性人口1000人当たりの「人工妊娠中絶実施率」について、県内では2003(平成15)年度が16.2、14年度が9.1と減少傾向にある。また、震災と原発事故が起きた10年度は10.6、11年度は10.0と、震災前後で大きな変化はみられなかった。

 人工妊娠中絶実施率は、分母に15~49歳の女性人口、分子に県内の病院での人工妊娠中絶件数(50歳以上の数字は除く)を用い、算出される。震災と原発事故の影響で、震災発生から20日間を含む10年度の値には、県相双保健福祉事務所管内の数字は含まれていない。

 福島医大医学部産科婦人科学講座の藤森敬也教授らは東京電力福島第1原発事故後、県内の人工妊娠中絶件数について調査し、12年、専門誌「周産期医学」で論文として発表した。論文によると、県内で妊娠を扱う81診療施設のうち74施設から寄せられた回答を分析。その結果、妊娠100件当たりの人工妊娠中絶数は震災前(11年1月~3月11日)、震災直後(3月12日~5月末)とも18前後だった。その後の調査によると、15年時点で15前後まで減少しているという。藤森教授は「(本県も)全国的な傾向と同じく、中絶は減っている」と説明する。

 合計特殊出生率は2年連続上昇 14年全国9位東日本で最高

 厚生労働省の人口動態統計によると、2014(平成26)年に県内で生まれた赤ちゃんの数(出生数)は1万4517人で、前年からの減少幅が震災前よりも縮小。女性が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は1・58と2年連続で上昇、全国順位は前年の15位から9位に上がり、東日本で最も高かった。

 県内では放射線への不安などから11、12年は出生数が前年比で1000人以上減少したが、時間の経過とともに県内で出産する人が増えたことなどから、13年には出生数が増加に転じた。14年は13年と比べて微減したが、震災前よりも減少幅は小さかった。

 本県の合計特殊出生率も出生数と同様の傾向がみられた。全国平均を上回っていた合計特殊出生率は震災後に落ち込み、12年には全国平均と同じ1.41となった。13年に1.53と震災前の水準に回復したが、14年はさらに上昇した。

 県は「原発事故後に減少した出生数や合計特殊出生率が、震災前の状況に戻りつつある」とみている。