【ニュースを追う】福島県産日本酒 宣伝効果『サミット頼み』とはいかず

 
伊勢志摩サミット中、報道関係者らに本県の酒が提供された

 三重県で5月に開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、各国首脳らに贈られる土産物として本県の日本酒が提供されるなど、さまざまな場面で県産品が登場した。原発事故の影響に苦しむ本県にとって、風評払拭(ふっしょく)と知名度向上への追い風になることが期待されるが、サミットの宣伝効果はどれほどあるのだろうか。関係者に話を聞いた。

 サミットの代表団宿舎のダイニングスペースでは大木代吉本店(矢吹町)の日本酒が振る舞われた。サミット後、全国の販売店から取り扱いをさせてほしいと連絡が多数寄せられている。大木雄太社長(46)は「福島のコメ、酒造りの技術が評価された。誇りに思っている」と述べた。

 2008(平成20)年の北海道洞爺湖サミットの夕食会で乾杯酒として採用され、ファンを増やしたのが「磯自慢」だ。静岡県焼津市の磯自慢酒造が造っているこの酒は、元々高い評価を得ていたが、サミットで提供されたことが報じられると、さらに知名度は向上。同社は「磯自慢の名前を知らない人にも知ってもらえた。公表された後、3日間は全国から問い合わせの電話が鳴りやまなかった」としている。

 一方、「サミット後、海外からの引き合いなどはほとんどない」と同社。国外へのアピールについては、「サミット頼み」というわけにはいかないようだ。酒をはじめ県産品についても、海外への売り込みについては直接各国に出向くなど「攻めの姿勢」が求められる。