医師の定着...「正念場」 常勤医師徐々に回復、魅力的な施設を

 
県内病院の常勤医師数の推移

 本県の病院に勤務する常勤医師数は、従来他の都道府県と比べて少なかったが、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が追い打ちをかけ、事態を深刻化させた。現在は回復傾向にあるが、楽観はできない。県民が安心して暮らすことができるよう、医師の本県定着、研修医の増加などに向けた施策の展開が求められている。

 県内病院の常勤医師数は、震災と原発事故の影響により、震災前と比べてマイナスの状況が続いていたが、2014(平成26)年以降はおおむねプラスに転じている。

 しかし、県中と相双については、今年4月1日時点で、震災前と比べてマイナスとなっている。相双については、避難指示により医療機関が休業などを余儀なくされている。一方、県中の状況について県地域医療支援センターは「首都圏からの医師派遣を比較的多く受けていたが、若い世代の医師が派遣元に戻ってしまったことなどが影響している」と分析する。子育て世代の医師らが放射線の不安などから本県を離れてしまうケースがあったようだ。

 郡山市の医療関係者によると、中でも産婦人科で常勤医の減少がみられ、全国の医師から支援を受けている状況だ。また、看護師、助産師不足の影響もあり、震災後に出産を扱わなくなった病院も出てきている。

 また、小児科については医師の高齢化が進んでいる。一方で医療費無料化などの影響で夜間救急の利用者が増加。業務が多忙化し、医師の負担も増えているという。県小児科医会の太神(おおが)和広会長(67)=郡山市=は「県外からも人材が集まるような魅力的な(病院はじめ医療関連の)施設を整備していく必要もある」と話す。