【起き上がり小法師】〔いわき・メディアウイング〕ドローンで楢葉記録

 
ドローンを活用した復興を模索する斉藤さん(左)と松本さん

 小型無人機「ドローン」を駆使して復興に貢献する目的で4月に設立された。本社は楢葉町。現在はいったん、いわき市に事務所を構え、ドローンを使った上空からの撮影を核に商機の拡大に奔走する。

 社長の斉藤勇さん(64)は約40年前から、飛行機やヘリなどの無線操縦が趣味だった。勤務先の退職を機に「長年培った専門知識を生かし、地域社会の役に立ちたい」と起業した。

 社員は2人。撮影や編集を手掛ける松本淳さん(36)は、震災の津波で同町の自宅を失ったことがきっかけとなり、ドローンでの空撮を始めた。「残せなかったものがあるからこそ映像で残しておきたいという思いを強くした」。個人で事業を始めたが、同じ志の斉藤さんと出会って合流した。

 会社化に合わせ、高画質の4Kカメラを搭載したドローンを導入した。「地上では状況が分からなくても上空からの映像だと一目瞭然。遠く離れている人に古里の姿を見てほしい」と斉藤さん。町の委託で町内の様子を毎月記録に残し、動画サイトで配信している。

 ドローンの飛行ルールが明確化された中、行政にはドローンの積極的な活用などを求める。災害対応や太陽光パネルの保守点検など幅広い分野への応用が期待されるためだ。機体の販売や修理、操作法の教育といった多角的な事業展開を狙い「高度な技能とノウハウを持つ地元企業として需要が見込める」と雇用拡大を視野に入れる。