【ニュースを追う】夏の風物詩「相馬野馬追」 盛り上がり『追い風』注目

 
最終日に南相馬市小高区の相馬小高神社で行われる行事「野馬懸(のまかけ)」

 相双を代表する夏の風物詩「相馬野馬追」(23~25日)の本番まで10日余りとなった。今回は、南相馬市小高区と同市原町区の一部に出されている避難指示が12日に解除され、さらにJR常磐線原ノ町―小高駅間も同日、運転再開となってすぐ後の開催。盛り上がりへの追い風となるか、注目が集まる。

 相馬野馬追は東京電力福島第1原発事故が起きた2011(平成23)年には規模を縮小し、震災犠牲者の鎮魂と相双復興のシンボルと位置付けて実施。12年からは旧警戒区域での行列を除き、通常開催に近い形で行われている。

 昨年の野馬追には3日間で延べ20万7200人の観光客が訪れた。相馬野馬追執行委員会事務局は今年も昨年並みの来場者数を見込んでいるが、同執行委員会事務局の涌井秀之南相馬市観光交流課長は避難指示解除を踏まえ「野馬追目的だけでなく、『被災地南相馬の現状を見よう』という人も多く訪れるだろう」とプラス要因があることを予想する。

 また、今年は2日目の24日夜に、同市小高区に伝わる祭事「火の祭」が6年ぶりに復活する。涌井課長は「火の祭の復活は、多くの人が訪れるきっかけになるのではないか」と期待を込める。一方、常磐線の運転再開についても地元関係者から歓迎の声が上がる。通学、通勤の手段としてだけでなく、野馬追や観光に訪れる人の交通の利便性向上にもつながるとみる。

 市によると、1999年当時の野馬追の3日間の入り込み数は29万1000人。さらなる盛り上がりに向け、今年も地元関係者の奮闘は続いている。