【起き上がり小法師】〔いわき・アイシーエレクトロニクス〕早期再開を決意

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自慢の逸品の「ぐい呑み」をアピールする岩本さん

 「技術を信頼してくれた顧客のために早期の再開を決意した」。金属製品を製造するアイシーエレクトロニクス会長の岩本久美さん(71)は震災、原発事故の発生からわずか2カ月後に操業を再開した当時の思いを明かす。同社は未曽有の災害で大熊町の本社の休止、閉鎖を余儀なくされたが、2011(平成23)年5月にいわき市小名浜に仮工場を構えた。

 1981(昭和56)年に創業。電解研磨などの卓越した技術が評価され、半導体の分野で国内のほか、台湾や韓国などの企業からも注文を受けていた。震災、原発事故直後も取引先から仕事の依頼が相次いだが、納品できない悔しさが岩本さんを操業再開に駆り立てた。「あのころはライバル会社に頭を下げて仕事を依頼したこともあったけど、最終的には自分でやることにしたんだ」

 大熊町の本社から愛着ある道具を運び出すなどの地道な努力から始まり、国の補助金などを活用しながら、少しずつ製造設備を整えた。12年3月末には好間工業団地内に新工場が完成し、いわき事業所として新たなスタートを切った。さらに事業を軌道に乗せるため、岩本さんは「企業にとって使い勝手の良い助成金を創設してほしい」と行政などの支援を訴える。

 現在は半導体分野の仕事に加え、研磨技術を応用したステンレス製の「ぐい呑(の)み」を製造し、県内外で注目を集めている。社長の座は次男哲児さん(41)に譲ったが、仕事への情熱は衰えない。