【起き上がり小法師】〔南相馬・斎藤接骨院〕故郷の小高に『恩返し』

 
「多くの人が帰還し安心して生活を送れるよう貢献したい」と誓う斎藤さん

 南相馬市小高区で8月に診療を再開した斎藤接骨院。院長の斎藤重宗さん(44)は「育ててもらった故郷小高に恩返ししたい」と力を込める。

 小高区出身の斎藤さんは、双葉高を卒業後、日体大に進学した。その後、専門学校に入り、卒業後は都内の接骨院で修業。1999(平成11)年に故郷で開業した。

 接骨院を構える場所は、小高区の中心部。小、中学校や高校に囲まれていることから、子どもから高齢者まで幅広い年代に利用されていた。原発事故による避難指示で斎藤さんは県内外を避難したが、事業者の事業再開の拠点として同市鹿島区に復興商店街「かしま福幸商店街」が整備されたことから、2011年10月に同商店街で再開した。

 「小高の住民が鹿島に一定割合住んでいたことから、小高の人たちが集う場所としても機能できた」と振り返る斎藤さん。次第に鹿島の住民にも利用され、今年4月末まで同商店街で診療し、8月に小高の診療所を再開させた。

 課題は顧客の確保。「住民はまだ戻っていないため、利用者が少ない」と悩む。それでも「来春には学校が再開して子どもたちも戻ってくるし、これから小高に帰還する人も増えていくだろう。一人でも多くの人が帰還し安心して生活を送れるよう貢献したい」と誓う。

 月曜、火曜、木曜、金曜の週4回の診療で時間は午前8時~正午と午後2時~同4時。