【ニュースを追う】只見線復旧 魅力最大限に...景観整備で観光振興

 
只見線の車窓からの景色。沿線山林の間伐を進めればさらに魅力的な景観になるという=2013年11月(風っこ只見線紅葉号より撮影)

 2011年7月の新潟・福島豪雨で県内の一部区間が不通となっているJR只見線の復旧を巡り、県と地元自治体が昨年12月26日、鉄道での復旧方針を決めた。今後は復旧に加え、只見線の魅力を最大限に引き出し、いかに利用促進を図るかという議論も焦点になるが、地元奥会津からは「沿線の山林の整備が今後の鍵を握る」という声が聞こえてきた。

 20年以上只見線の写真を撮り続けている奥会津の郷土写真家星賢孝さん(68)=金山町=は、只見線の沿線や車窓からの景色について「スイスの山岳鉄道に匹敵する。昨年スイスに行き、『負けていない』とも感じた」と胸を張る。

 星さんによると、只見線の絶景を写真に収めようと、中国や台湾など海外からのアマチュアカメラマンが数多く沿線に足を運んでいる。不通となっている会津川口―只見間を含め、只見線の景色は国内外のファンの心をつかんでいる。

 一方、星さんは「沿線の杉林や雑木林がかなり景観を遮っている」と指摘する。沿線の木々を伐採すれば列車を撮影するポイントも増え、車窓からの眺めも何倍にも良くなるという。さらに「ビューポイントを増やせば駐車場も必要になってくる」と課題を挙げる。

 只見線をはじめローカル線を存続させる意義について星さんは「特に都市部では車を持たない人が増えている。鉄道という交通手段がなければ、都市部の人にとって観光地としての選択肢から外れる。そうなれば地方はますます元気を失う」と強調する。只見線については復旧費だけを論じるならば代行バスの方が自治体の財政負担は少ないが、観光資源としての鉄道を失うことは奥会津の宝を失ってしまうことになりかねない。